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石綿


asbestos

 天然に鉱山で採掘され、ケイ酸塩を主成分とする繊維状の鉱物。耐熱性、保温性、防火性、防音性、耐磨耗性などに優れ、糸状や布状に加工しやすく、安価なので、建材、船舶、パイプバルブ自動車ブレーキなどに大量に使用された。1960年代にアスベストによる肺がんや中皮腫の発生が確認され、72年に国際労働機関(ILO)がアスベストによる職業がんを公認、日本では75年に吹き付けアスベストの使用が禁止された。87年に全国の小中学校の建物でのアスベスト使用が問題となったが、根本的な対策は取られなかった。95年に発がん性の高い青石綿と茶石綿が輸入・製造禁止、2005年からは白石綿も原則禁止となった。アスベスト粉じんの吸入により発症するアスベスト肺、肺がん、中皮腫などは、10~50年の潜伏期間がある。過去に輸入されたアスベストは、1000万tにのぼり、とくに1970~80年代には毎年30万tを輸入使用しており、村山武早稲田大学教授は、今後40年間に10万人の中皮腫死亡者が出ると予測している。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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