シニフィエ

signifi(e)(仏)
ソシュール言語学のキーワード。シニフィアンは1つの言葉のもつ「音」の側面を、シニフィエはその「意味」の側面を指す。例えば、犬という語には、[イヌ]という音の側面(シニフィアン)と[4本の足で歩き、ワンワンと吠える等]のイメージや意味の側面(シニフィエ)がある。この2つはその言葉を使う者には一体化しているが、同じ犬の意味を担う音でも、日本語では[イヌ]、英語では[ドッグ]となる。シニフィアンとシニフィエには絶対的なつながりはないのだ。また、犬-野犬-山犬-狼といった語同士のつながりを考えてみると、例えば、[ヤマイヌ]という音が廃れてなくなれば、野犬や狼の意味が広がって山犬の意味をカバーする。つまり、犬-野犬-山犬-狼という分節はなんら絶対的なものではなく、犬-野犬-狼という分節に変化しうるようなものなのである。このように考えると、世界や事物の秩序とは、客観的なものではなく、むしろ、言語による分節がつくる一定の見方にすぎないことがわかってくる。客観それ自体の秩序を言葉が写し取っているという考えを否定するこの主張は、20世紀の思想に大きな影響を与えた。

![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14849425 |




