ハードボイルド

hard‐boiled detective story
1920年代アメリカにおいて、自らも探偵業に従事した経験を持つダシル・ハメットが、雑誌「ブラック・マスク」を舞台に確立したジャンル。探偵サム・スペードの活躍する『マルタの鷹』(1930年)が、このジャンルの記念碑的長編。ハードボイルド探偵小説は以後、ハメットの、徹底して贅肉を削ぎ落とした、乾いた文体を継承しつつ、レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウ、ロス・マクドナルドのリュウ・アーチャー、ミッキー・スピレインのマイク・ハマーなど、数々のスペードの後継者を生んで行く。ハードボイルドのヒーローは、誰の助力も借りずに、己の名誉をかけた掟を守って、タフに生き延びていく。都市に棲息する独身者として、日常生活の細部には徹底してこだわる。現実主義者で皮肉屋でありながら、捜査対象にはしばしば感情的に巻き込まれる。時には犯罪捜査のみならず、判決を、処刑を下す役を買って出ることもある。ハードボイルドの物語構造は、騎士物語と同じく、探求と発見から成っている。アメリカ産ハードボイルド探偵小説は、50年代、日本に翻訳紹介された。80年代より、国産ミステリーに占める割合は確実に上昇していき、生島治郎、北方謙三、原燎、藤田宜永、大沢在昌、白川道、藤原伊織などの人気作家を擁して、確固たる位置を占めている。

![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14849642 |




