古・古へ
【いにし-へ】

[名]
いにし-へ【古・古へ】(―エ)((動詞「いぬ(往ぬ)」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形+名詞「へ(方)」から))[1]遠く過ぎ去った時代。ずっと昔。古代。
[例]「歌の道のみ、いにしへに変はらぬなどいふこともあれど」〈徒然・一四〉
[訳]「和歌の道だけは、遠く過ぎ去った時代と変わっていないなどということもあるが」
[2]過ぎ去った時。過去。以前。昔。
[例]「いにしへ見し人は、二、三十人が中にわづかに一人・二人なり」〈方丈〉
[訳]「以前に会った人は、二、三十人のうちにたった一人か二人だ」
<参考>類義語に「昔(むかし)」がある。「いにしへ」も「むかし」も過去を表す点では同じだが、「むかし」が過去のある一時点・一時期を表すことが多いのに対し、「いにしへ」は過去のある時期のさまざまな事柄を表し、過ぎ去った時間への感慨を含むことが多い。

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5074446 |