面白し
【おも-しろ・し】

[形][ク](く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ
▲もともと「面(おも)」「白(しろ)し」で、目の前がぱっと明るくなり、心が晴れやかになるようすを表す。
[1]趣がある。美しい。すばらしい。風流である。
[例]「今、参りつる道に、もみぢのいとおもしろき所のありつる」〈更級〉
[訳]「今、通って参りました道に、もみじが非常に美しい所があって」
[2]楽しい。心が晴れ晴れする。
[例]「げに川風も心わかぬさまに吹き通ふ物の音どもおもしろく遊び給ふ」〈源氏・椎本〉
[訳]「なるほど(宇治の)川風は分け隔てしないかのように吹き通い、楽の音を運び、楽しく管弦の遊びをなさる」
[3]風変わりである。珍妙である。
[例]「舟人これを見て、『あらおもしろや、いかなるものやらん』とて、河の岸へ投げ上ぐる」〈伽・鉢かづき〉
[訳]「船頭がこれを見て、『おや珍妙だなあ、どんなものだろうか』といって、河岸に投げ上げる」
<参考>[1]の意で用いられる「あはれなり」はしみじみと心動かされる情趣を、「をかし」は知的に客観的にとらえた趣を表すのに対し、「おもしろし」は心が晴れやかになるような感興を喚起する趣を表す。[3]の用例は語幹の用法。

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5082752 |




