ざ・なり
【ざ・なり】

((「ざるなり」(打消の助動詞「ず」の連体形+伝聞・推定の助動詞「なり」)の撥音便「ざんなり」の撥音を表記しない語))[1]〔「なり」が推定の場合〕…ないようだ。…ないらしい。
[例]「おとなしく静やかなるけはひにてものなど言ふ、くちをしからざなり」〈更級〉
[訳]「(資通(すけみち)様は)年輩でもの静かなようすで話などをする、(そのさまは)もの足りない点はないようだ」
[2]〔「なり」が伝聞の場合〕…ないということだ。…ないそうだ。
[例]「海賊は、よるあるきせざなりと聞きて」〈土佐・一月三十日〉
[訳]「海賊は、夜に横行はしないということだと聞いて」
<参考>実際の発音は「ざんなり」となる。

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5083926 |