賞翫
【しゃう-くゎん】

[名][他][サ変]
しゃう-くゎん【賞翫】(ショウカン)((近世以降は「しゃうぐゎん」ともいう))[1](美しい物や珍しい物などを)めでて愛好すること。珍重すること。
[例]「春の花の頃(ころ)過ぎて、夏草の花をしゃうくゎんせんずる時分に」〈風姿花伝・七〉
[訳]「春の花が咲く時期が過ぎて、夏草の花をめでて愛好する時節に」
[2]尊重すること。重んじること。
[例]「『別しては松の尾の大明神』と、御しゃうくゎんなされまするは」〈狂・福の神〉
[訳]「『とりわけ松の尾の大明神』と、ご尊重なさいますのは」
[3]味わって楽しむこと。賞味すること。
[例]「身(み)がしゃうくゎんせうと思ひきってゐたその熟柿(じゅくし)をば何と思うて取って食らうたぞ」〈イソポ・イソポの生涯の事〉
[訳]「私が賞味しようと思い込んでいたその熟した柿(かき)を、いったい何だと思って取って食べてしまったのか」

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5085390 |