い-ま・す
【い-ま・す】

((接頭語「い」+動詞「ます(坐す)」から。上代は四段活用、後にサ行変格活用に変わった))<一>[自][サ四]((接頭語「い」+動詞「ます(坐す)」から。上代は四段活用、後にサ行変格活用に変わった))<一>[サ変]<二><補動>[サ四]<二>[サ変]<三>[他][サ下二]((接頭語「い」+動詞「ます(坐す)」から。上代は四段活用、後にサ行変格活用に変わった))<一>さ/し/す/す/せ/せ((接頭語「い」+動詞「ます(坐す)」から。上代は四段活用、後にサ行変格活用に変わった))<一>せ/し/す/する/すれ/せよ<二>さ/し/す/す/せ/せ<二>せ/し/す/する/すれ/せよ<三>せ/せ/す/する/すれ/せよ
((接頭語「い」+動詞「ます(坐す)」から。上代は四段活用、後にサ行変格活用に変わった))<一>
[1](「あり」「居(を)り」の尊敬語)いらっしゃる。
[例]「◎あり巡り我(わ)が来(く)るまでに平(たひら)けく親はいまさね」〈万葉・二〇・四四〇八・長歌〉
[訳]「◎(防人(さきもり)の任地を)めぐりめぐって私が帰ってくるまで、ご無事で親はいらっしゃってほしい」
<参考>用例の活用は四段。
[2](「行く」「来(く)」の尊敬語)いらっしゃる。おいでになる。
[例]「右大将の宇治へいますること、なほ絶え果てずや」〈源氏・浮舟〉
[訳]「右大将が宇治においでになることは、今もなおすっかり途絶えてはいないのか」SA=<参考>用例の活用はサ変。
<二>…ていらっしゃる。
[例]「をこなりと見てかく笑ひいまするがはづかし」〈枕草子・関白殿、二月二十一日に〉
[訳]「ばかだと思ってそう笑っていらっしゃるのが恥ずかしい」
<参考>用例の活用はサ変。
<三>((上代語))(「あらす」「行かす」「来さす」の尊敬語)いらっしゃるように申し上げる。おいでになっていただく。
[例]「◎十五日(もちのひ)に出(い)でにし月の高々(たかたか)に君をいませて何をか思はむ」〈万葉・一二・三〇〇五〉
[訳]「◎十五日に出てきた満月のように高々と(背伸びするようにして)待ち望んだあなたにおいでになっていただいて何を思いわずらいましょうか」
<参考>(1)四段活用の自動詞に対して下二段活用が他動詞になるのは、「伏す」の自動詞の連用形が「伏し」に、他動詞の連用形が「伏せ」になるのと同様。(2)現代語の人や犬などがいる意の「います」(上一段活用の動詞「いる」の連用形+丁寧の助動詞「ます」)とはまったくの別語。現代語の「います」を歴史的仮名づかいで書くと、「います」ではなく「ゐます(居ます)」となる。

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5096384 |