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なげきつつ
【なげきつつ】


〈拾遺・恋四・九一二・藤原道綱母(みちつなのはは)、蜻蛉・上〉
[訳]「あなたがおいでにならないので、嘆き続けてひとり寂しく寝る、その夜が明けるまでの間はどんなに長く感じられるものか、お分かりですか」
<参考>『拾遺和歌集』の詞書に「◎入道摂政まかりたりけるに、門を遅く開けければ、立ちわづらひぬと言ひ入れて侍りければ」とある。『蜻蛉日記』の天暦九(九五五)年十一月の条に、経緯がくわしく記されている。作者が道綱を出産して間もなくの時期に、兼家(かねいえ)が町小路の女という愛人のもとに通っていることを知って、その訪れた折に家に入れず、翌朝「移ろひたる菊」に、この歌をつけて贈ったとある。ひとり寝のつらさを訴えた歌で、兼家は「◎げにやげに冬の夜(よ)ならぬ真木(まき)の戸も遅くあくるはわびしかりけり」と返歌をしている。『大鏡』兼家伝にも記された、有名な逸話である。『小倉百人一首』の作者表記は「右大将道綱母(うだいしゃうみちつなのはは)」である。




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5102631