つたな・し
【つたな・し】

[形][ク](く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ
▲自分のことに限らず、何事についても不十分で劣っている意で用いられる。
[1]愚かだ。劣っている。
[例]「芸はこれつたなけれども、人の耳を悦(よろこ)ばしめむとにはあらず」〈方丈〉
[訳]「(私の琵琶(びわ)を弾く)技能は劣っているけれども、他の人に聞かせて喜ばそうというのではない」
[例]「つたなき人の、碁打つことばかりにさとく、巧みなるは」〈徒然・一九三〉
[訳]「愚かな人で、碁を打つことだけに理解が深く、じょうずな人が」
[2]未熟だ。へただ。
[例]「『これは知りたることぞかし。などかうつたなうはあるぞ』と言ひ嘆く」〈枕草子・清涼殿の丑寅のすみの〉
[訳]「『(下の句を聞けば)これは知っていたこと(=歌)だよ。どうしてこんなに(『古今和歌集』の和歌に)未熟なのか』と嘆いて言う」
[例]「手などつたなからず走り書き」〈徒然・一〉
[訳]「字もへたでなくすらすら書き」SA=<参考>前の用例中の「つたなう」は連用形「つたなく」のウ音便。
[3]運が悪い。不運だ。
[例]「先(さき)の世の契りつたなくてこそ、かく口惜しき山がつとなり侍りけめ」〈源氏・明石〉
[訳]「前世からの宿命が運が悪くて、このように(都を離れ)いなか者になりましたのでしょう」
[4]見苦しい。みっともない。
[例]「よからぬ物たくはへ置きたるもつたなく」〈徒然・一四〇〉
[訳]「よくもない物を蓄えて置いているのは見苦しく」

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5110617 |




