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うたて・し
【うたて・し】


[形][ク](く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ


[1]いやだ。いとわしい。気にくわない。嘆かわしい。情けない。
[例]「勧賞(けんじゃう)かうぶらんとて、尋ね求むるぞうたてき」〈平家・一二・六代〉
[訳]「ほうびをいただこうとして、(戦いに敗れて逃げた平家の人々を)捜し求めたとは情けないことだ」
[2]気の毒だ。心が痛む。
[例]「具足(ぐそく)し奉り、行くへも知らぬ旅の空にて、憂き目を見せ奉らんもうたてかるべし」〈平家・七・維盛都落〉
[訳]「(あなたを)お連れ申し上げ、どこへ行くかも分からない旅の途中で、つらい目にあわせ申し上げるとすれば、気の毒なことにちがいない」
<参考>中古は「あな、うたて」「うたての心ばえや」などの形で、語幹だけで用いられることが多かったが、中古末期からは活用させた形での用法が一般的になった。中世にはク活用だけでなく、シク活用での用法もみられる。




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5111070