本当は『アリとセミ』だった『アリとキリギリス』の物語

みんなが知っている『イソップ物語』ですが、実は作者のイソップについては、あまり詳しいことがわかっていません。なぜなら、『イソップ物語』が成立したのはイソップが亡くなって二〇〇年以上経ってからだからです。そのため、『イソップ物語』の中には、オリジナルではない物語がいくつも交ざっているといわれています。
現在わかっていることは、イソップは紀元前六〇〇年頃にギリシアに実在した人物で、もともとは奴隷でしたが、
『イソップ物語』は世界中で刊行されるうち、だんだんに姿を変えました。たとえば、私たちがよく知っている『アリとギリギリス』の物語も、オリジナルは『アリとセミ』でした。
イソップが活躍したギリシアにはセミがいますが、ドイツやイギリスなどセミがいない地域では「コオロギ」や「キリギリス」などに変わってしまったのです。

![]() | 角川学芸出版 「花マル雑学塾」 JLogosID : 5145002 |