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大名行列を横切ってもよい職業とは?


大名行列を横切って、あっけなく切り捨てられてしまったという事件もあります。しかし、横切ってもOK! 例外とされた職業が産婆さん。産気づいた妊婦が道路の反対側にいる場合は、たとえ大名行列といえども横切り、赤ん坊を取りあげる世話をすることが許されていました。
ところで、大名行列とは、どのような編成になっていたのでしょう。大名行列は徳川幕府三代将軍徳川家光が定めた参勤交代の産物ですが、大名の格付けにより、馬上(ばじよう)(馬に乗る武士)、足軽(あしがる)、中間(ちゆうげん)、人足(にんそく)などお伴の数まで細かく決められていました。
記録によると、江戸時代最大の石高を誇った加賀藩で行列の総勢は二五〇〇人。鹿児島島津藩で一二〇〇人といいます。
これらの人々が通り過ぎるまで待っていては、赤ん坊が生まれてしまう場合もありますから、産婆さんだけは横断が許されていたのです。
では、そのほかのしもじもは、大名行列が通り過ぎるまで、ずーっと土下座しっぱなしだったのでしょうか? そうだとしたら街道沿いの人々は、しょっちゅう土下座していなければならずGNPは甚だ低下してしまいます。
経済的影響を考慮したのかどうか、土下座しなければならなかったのは、将軍と水戸藩、尾張藩、紀伊藩の御三家の場合だけ。ですから、先払いのかけ声も有名な「下あに、下あに」は将軍、御三家の場合のもので、譜代(ふだい)や外様(とざま)大名の場合は、少々迫力不足の「片寄れえ、片寄れえ」。人々は、道の端に寄ればおとがめはなかったのです。




角川学芸出版
「話を盛りあげる究極の雑学」
JLogosID : 5180408