敬語の基本・三つの表現法をマスターする

最近、正しく美しい敬語を使える人がどんどん減っています。しかし、相手を大切に思う心を反映した敬語は日本語の基本ともいうべき表現。人間関係をスムーズにするばかりか、社会的信用を得たり、反対に台なしにしたりすることもあるほど、大きな影響力も持っています。
最近は、親子はいうまでもなく、学校でも先生と友だち言葉で話すなど、敬語を身につける機会が激減しています。
ふだんから使い慣れていないと、いざという時に失敗してしまいがち。敬語はその典型だといえましょう。
そうしたことから、「敬語は苦手」という人が増えていますが、この機会に、正しい敬語の使い方を知り、日頃からTPOに応じて使い分け、敬語上手になっておきましょう。
「尊敬語」……人と話す時、相手、相手側の人の動作・行為・状態・持ち物などについて話すとき、とくに敬意をはらった表現を使います。自分や自分側については、いっさい使いません。
〈尊敬語の基本パターン〉
(1)名詞や形容詞に「お」「ご」などをつける。
お食事、お仕事、ご家族、ご家庭、お美しいなど。
(2)動詞に「お」「ご」をつけたり、「くださる」「~れる・られる」「~される」「~になる」などをつける。
お出かけになる、お話しになる、行かれる、お話しくださる、快復される、結婚される、お入りになる……など。
(3)「~なさる」を使う。
「お~になる」に近い形ですが、「に」が入りません。お引っ越しなさる、ご出発なさる、ご心配なさいませんように。
(4)専用の尊敬語を使う。
いらっしゃる、ご覧になる、召し上がる、ご存じ……などは、専用の尊敬語です。
以下のような言い換えがよく行なわれます。
◆いう→おっしゃる
◆食べる→召し上がる
◆行く→いらっしゃる
◆来る→おいでになる、お見えになる、お越しになる、いらっしゃる
◆見る→ご覧になる
◆着る→お召しになる
◆くれる→くださる
◆気に入る→お気に召す
◆する→なさる
◆いる→いらっしゃる
◆寝る→おやすみになる
◆死ぬ→お亡くなりになる
「謙譲語」……主語(多くの場合、自分や身内)をへりくだった表現で表し、相手側を高める方法です。相手側には使いません。
〈謙譲語の基本パターン〉
(1)謙譲表現の言葉「まいる」「いただく」「いたす」などの言葉をつけて、謙譲語をつくる。
◆まいる→呼んでまいります
◆いただく→拝見させていただきます
◆いたす→お知らせいたします
◆あげる→取ってあげます
(2)専用の謙譲語を使う。
◆いう→申す、申し上げる
「お約束申し上げます」「御礼申し上げます」
◆聞く、尋ねる、行く→うかがう
「ご旅行されていたとうかがいました」
「先生のご都合をおうかがいしたいのですが」「明日、こちらからおうかがいさせていただきます」
◆行く、来る→まいる
「私からそちらにまいります」「出先から直接まいりましたもので……」
◆食べる→いただく
「では、遠慮なくいただきます」「美味(おい)しくいただいております」
◆もらう→いただく、頂戴(ちようだい)する
「会費をいただきたいのですが」「お言葉に甘え、頂戴いたします」
◆知る→存じあげる
「その方はよく存じあげております」
◆する→いたす
「明日までに、再提出いたします」「必ず、出席いたします」
◆会う→お目にかかる
「近々、ぜひ、お目にかかりたいですね」
◆見せる→お目にかける
「お目にかけたいものがありますので、ぜひ、お立ち寄りください」
◆あげる→さしあげる
「お手紙をさしあげます」
◆帰る→失礼する
「本日は、これで失礼させていただきます」
「丁寧語」……初対面の人などに向かい、丁寧な表現を使って、敬意を表します。
〈丁寧語の基本パターン〉
(1)「~です」「~ます」を使う。
「担当者は私です」「そちらは○○です」
(2)「ございます」(「ます」より一層丁寧な表現)を使う。
「これがサンプルでございます」「入り口はこちらでございます」
(3)名詞や形容詞に「お」「ご」をつける。
お茶、お食事、ご病気、ご本、ご署名、お美しい、お若い、ご立派、ご壮健など。
(4)丁寧語を使う。
◆わたし、ぼく→私、私ども
◆この人→こちらの方
◆だれ→どちら、どちらさま
◆どれくらい→いかほど
◆さっき→さきほど
◆あとで→のちほど
◆このあいだ→先日
◆今度→次回、後日
◆少し→少々
◆今日→本日
◆昨日(きのう)→昨日(さくじつ)
◆明日(あした)→明日(みようにち)
◆これからも→今後とも

![]() | 角川学芸出版 「社会人話し方マナーとコツ」 JLogosID : 5200028 |




