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石狩山地
【いしかりさんち】


北海道の中央部を占める山地。広義には大雪・十勝岳火山群,石狩中央山地,然別(しかりべつ)火山群を包括し,西は上川・富良野両盆地に臨み,北は北見山地と境し,東は白糠丘陵,南は狩勝峠付近で日高山脈と接する。その中心部は北海道の屋根と呼ばれる高所をなし,大雪山国立公園に指定されている。狭義には石狩中央山地を指す。石狩中央山地は,日高造山運動による褶曲山地で,主として日高層群と呼ばれる古生層からなる。三国山(1,514.4m)から南西方にユニ石狩岳(1,771m)・音更山(1,932m)・石狩岳(1,962m)などが連なり,東方へは20kmにわたって山峰が連なり,日本海斜面,オホーツク海斜面と太平洋斜面との分水界を形成。大雪山は石狩山地の北西部を占め,北海道の最高峰旭岳(2,290.2m)をはじめ多数の火山峰が位置する。これらの火山は,日高層群の浸食山地を覆う新第三紀の火山噴出物の台地の上に,洪積世初期に多量の溶結凝灰岩や溶岩を噴出して基底の溶岩台地ができた。火山南部の高根ケ原・忠別岳(1,963m)・化雲岳(1,954m)・黄金ケ原・五色ケ原・沼の原など一連の高原はこの時形成された。火山の中央部には南西に馬蹄形に開口する安山岩質溶岩からなる諸峰が分布する。これは基底の溶岩台地形成ののちに生じた大きな陥没カルデラの外壁に沿って噴出したものと考えられ,カルデラ自体はその後噴出物で埋積されて原形をとどめない。これら諸峰は愛別岳(2,112m)・比布(ぴつぷ)岳(2,206m)・黒岳(1,984m)・烏帽子岳(2,072m)・赤岳(2,078m)などで,次いで凌雲岳(2,125m)・北鎮岳(2,246m)・白雲岳(2,229.5m)なども生じた。のちに諸山峰の中心部に成層火山が生成されたが,洪積世末に,この成層火山は火砕流を発し,北東の石狩川の谷を埋めて層雲峡の溶結凝灰岩を堆積し,直径2kmの陥没カルデラ(御鉢平)と中岳(2,113m)・間宮岳(2,185m)・北海岳(2,149m)などのそびえる外輪山を生じた。層雲峡の溶結凝灰岩は下刻されて大峡谷を造る。外輪山の南西方に位置する旭岳の生成は最も新しく,沖積世の成層火山である。大雪火山群はトムラウシ山(2,141m)を経て十勝岳火山群に連なる。十勝岳火山群は石狩山地南西部を占め,十勝岳(2,077m)を主峰とする。日高層群と中新統の美瑛層を基盤とし,鮮新世ないし洪積世初期に大量の火砕流を噴出する活動を繰り返し,十勝岳溶結凝灰岩を堆積し,西麓では上川盆地と富良野盆地との間の丘陵を構成する。洪積世中期から沖積世にかけて多くの成層火山とその寄生火山が,この火砕流台地上に噴出し十勝岳火山群を形成した。北東から南西へオプタテシケ山(2,013m)・ベベツ岳(1,860m)・美瑛富士(1,868m)・美瑛岳(2,052m)・十勝岳・上ホロカメットク山(1,920m)・富良野岳(1,912m)が一列に連なり,これと直交して上ホロカメットク山・境山(1,837m)・下ホロカメットク山(1,668m)の列と旭岳(1,335m)・前富良野岳(1,624m)・大麓山(1,460m)の列とがある。これら火山体の生成期には新旧があり,美瑛富士・十勝岳の一部などは沖積世に形成され,今日も活動がみられる。然別火山群は石狩山地の南東部を占め,その西部にはニペソツ山(2,012.7m)・然別山(1,264m)・ウペペサンケ山(1,870m)・北ペトウトル山(1,401m)・南ペトウトル山(1,348m)などが連なる。多くは開析火山で,山体の高度400~500mの基底に日高層群を露出することが多い。然別湖の南に位置する西ヌプカウシヌプリ(1,256m)・東ヌプカウシヌプリ(1,262m)・天望山(1,173m)などは沖積世噴出の溶岩円頂丘で,この南には熱雲堆積物のなだらかな山麓が開ける。糠平湖の北方にはピリベツ岳(1,602m)・西クマネシリ岳(1,636m)・クマネシリ岳(1,589.9m)・南クマネシリ岳などが,さらにその東方には東三国山(1,230.1m)・喜登牛山(1,312m)などがある。これらはいずれも著しく開析されて原形をとどめない。




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「角川日本地名大辞典」
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