大湯沼
【おおゆぬま】

登別市にある沼。日和山南麓の爆裂火口に熱湯をたたえた沼で,登別温泉の地獄谷の北方500mに位置する。楕円形で東西300m,南北200m,深さ25m。表面温度は夏60℃,冬40℃以下となり,湖底は76~90℃以上。底部に数か所の漏斗状窪地があるという。硫黄が溶融状態で沈殿し,沼の表面は黒色粉末状の硫黄で濁って不透明。日和山(366m)は溶岩円頂丘で倶多楽(くつたら)火山の外輪山に接し,頂上付近に小爆裂火口があり,噴気口から噴煙を出す活火山である。大湯沼をポロユ(大きい湯泉),大湯沼から出る小川をユエサンペッ(温泉がそこで出て行く川)といい,日和山をポロユエトコ(大湯沼の奥の山)といい,海上から噴煙がみえたことから名付けられた(登別・室蘭のアイヌ地名を尋ねて)。硫黄採掘は松前藩から始まり,寛政年間に幕府直轄で盛行を極めた。明治32年個人所有となり,大正12年に登別硫黄鉱山となり地獄谷と大湯沼から採取したが,支笏洞爺国立公園に指定され閉山した。登別温泉から大湯沼の東側407haは,大正13年に登別原始林として国天然記念物に指定された。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7001333 |