札幌郡
【さっぽろぐん】

(近代)明治２年～現在の郡名。明治２年国郡制設定により石狩国の１郡として成立。江戸期のイシカリ十三場所の一部地域にあたる。明治２年開拓使の管轄，同15年札幌県，同19年からは北海道庁に所属。なお，太政官公文録などによれば，明治２年一部は兵部省の管轄とあるが，推移不明。同９年第１大区１～６小区となり，１小区に北後志(きたしりべし)町・浜益通・厚田通・札幌通・石狩通・樺戸(かばと)通・空知通・西創成町・東創成町・雨竜通・上川通・夕張通，２小区に南後志通・渡島(おしま)通・爾志通・檜山通・津軽通・福島通・上磯通・胆振通・西創成町・山越通・虻田(あぶた)通・有珠(うす)通・室蘭通・幌別通・白老通・勇払(ゆうふつ)通・千歳通・岩内通，３小区に東創成町・浦河通・様似(さまに)通・幌泉通・日高通・沙流(さる)通・新冠(にいかつぷ)通・静内通・三ツ石通，４小区に円山村・琴似村・上手稲(かみていね)村・下手稲村・発寒村・山鼻村，５小区に豊平村・上白石村・白石村・平岸村・月寒村，６小区に札幌村・雁来村・苗穂村・丘珠村・篠路村・対雁(ついしかり)村の町村があった（北海道志）。同10年のアイヌの戸数151・人口862（同前）。同24年の戸数5,186・人口２万3,598うち男１万2,848・女１万750（徴発物件一覧）。明治12年郡区町村編制法により札幌に区制が施かれ，札幌郡も札幌区役所の管下に置かれた。しかし，同17年札幌区役所が独立し，郡役所の管轄は，札幌・夕張・空知・樺戸・雨竜・上川郡役所，同22年札幌・石狩・厚田・浜益・千歳郡役所などの郡役所の変遷を経て，明治29年札幌・石狩・厚田・浜益・千歳郡役所の所轄となる。同30年札幌支庁管内に所属。同32年札幌区は自治体札幌区へ移行する。大正11年石狩支庁，昭和22年からは北海道石狩支庁管内のうち。慶応２年幕府により旧札幌村（現札幌市東区）の付近に石狩御手作場が開発され，明治２年札幌本府の建設に着手。またそれに伴い周辺地域にも移民の入植によって村落が急速に形成され，開拓使の時代には琴似・手稲・発寒・白石・月寒・丘珠・対雁・江別など18か村が成立している。稲作を中心に，近郊農業型の農業が営まれ畑作地域も広く，また酪農業も早くから発展している。ただ近年は大都市札幌をひかえて都市化が著しい。当郡内の町村域は逐次，札幌市に合併された。平成８年の広島町の市制施行をもって当郡は消滅。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7003405