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ユルリ島
【ゆるりとう】


かつては緩島とも書いた。根室市の花咲岬の沖合い7.5kmにある島。根室半島南岸の中央部にあり,周囲7km,面積2.1km(^2)で,周囲には海食崖が発達し,白亜紀の集塊岩・礫岩で構成される。隆起海食性の台地で最高点は43m,島内は40mと20~30mの2つの段丘面に区分され,一時は馬の放牧が行われた。「北海道蝦夷語地名解」では「ウリリ,鵜。ユルリニアラズ」とされる。「観国録」には「ユルリ島ハ二島ニシテ,東ノ方ヲ小トシ西ノ方ヲ大ナリトス,大ナル方周廻十丁許ニ過キサル可シ……両島共ニ平坦ニシテ樹木アル事ナシ」とあり,ユルリの名称はモユルリ島を含む2島の総称とされる。0.7km北にあるモユルリ島とともに根室半島との間にユルリ海峡を作り,明治末年から周辺水域は地元各漁業組合の入会漁場として利用された。島の中央部にはチャミズゴケ・スギゴケなどの植物群落も豊富で,高層湿原を形成する。また北洋の鳥の繁殖南限地にも当たり,チシマウガラス・ケイフマリ・エトピリカなどが夏季には多く,昭和38年には海鳥繁殖地として道天然記念物に指定された。島の西側には灯台があり,島の周囲にはろうそく岩(高さ30m)や二ツ岩などがあり,コンブ・ギンナンソウなどの好漁場となる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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