礼文華峠
【れぶんげとうげ】

胆振(いぶり)地方豊浦町と渡島(おしま)地方長万部(おしやまんべ)町の境界にある峠。国道37号にあり,道路標高は238m。現在峠付近は延長1,152mの礼文華トンネルで通過し,また室蘭本線も約7kmのトンネルで通過している。江戸期から難所として知られ,隣接の静狩峠とともに太平洋岸の,蝦夷三嶮の1つといわれた。明治期以後も礼文華山道と呼ばれる屈曲の多い歩行道で,当時の最高点は294m。旅人は峠道を避け,森~室蘭間の船便を利用した。明治初年の札幌本道建設の際にもこの峠道は改修されず,明治27年の工事で,わずかに傾斜がゆるめられ,道幅も広げられた。昭和37年から本格的な改修工事が始まり,峠付近は全面切替えに近い工事が行われ,同40年に現在の道路が完成した。礼文華・静狩両峠は後志(しりべし)・胆振・渡島三支庁管内の境界にあたり,道南と道央を分けるが,気候や植生の相異,それに基づく土地利用や生活様式の差異などを感じさせる重要な峠となっている。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7009585 |