田子
【たっこ】

旧国名:陸奥
達戸とも書いた。馬淵(まべち)川の支流熊原川流域に位置する。西端には来満山がある。地名の由来については,熊原川流域で最も早く水田が開かれたので「田っこ」(田圃の方言)と呼んでいたのが地名になったともいわれるが,これに対し金田一京助博士らによるアイヌ語起源説があり,平地の一小円丘を意味するタプコあるいはタプコプにあたるとされる(北奥地名考)。当地の場合,田子の町並みの西南につづく高台が元の田子城跡で,校地造成のため谷を埋めて整地したので昔日のおもかげは失われたが,遠望すればまさにタプコプに相当する。そして,丹内・獅々内・遅毛内・相内などアイヌ語地名のサンプルとされるような「内」のつく一連の地名に囲まれたのが田子であってみれば,アイヌ語地名とみる方が自然であろうか(田子町誌)。地内には田子館跡があり,前館と佐々木館の2つの郭がある。田子館は明応年間に南部家20代信時が隠退し,26代信直も住み,その子27代利直は天正4年田子館で生まれたという。田子館は元来佐々木惣左衛門が守る館であったが,22代政康の次男高信が田子館に封ぜられたので,佐々木氏は西に隣接する館に移り,東方の側を前館(牛尾館),西側の館を佐々木館と呼ぶようになったとされる(青森県の中世城館)。
【田子(中世)】 戦国期に見える地名。
【田子村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
【田子村(近代)】 明治22年~昭和3年の三戸郡の自治体名。
【田子町(近代)】 昭和3年~現在の三戸郡の自治体名。
【田子(近代)】 明治22年~現在の大字名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7011640 |




