東長町
【ひがしながまち】

旧国名:陸奥

(近世～近代)江戸期～現在の町名。明治初年～明治22年は弘前を冠称。江戸期は弘前城下の１町。はじめは横町と称し，天和３年に改称した（平山日記）。城郭の東に位置し，下白銀町から土淵川まで東西にのびる。北は蔵主町・長坂町・笹森町に接し，北隣に東照宮と薬王院がある。南は元寺町・元寺町小路・百石町小路・百石町と接する。町名の由来は，長町の東に立地することにちなむと考えられる。正保３年の津軽弘前城之絵図には町名は見えないが，百石町小路・百石町側と笹森町入口以東に侍屋敷，ほかは町屋が配置され，三の丸東門から「東川端」まで350間とある。慶安２年の弘前古御絵図には町名は横町と見え，武家屋敷・町屋入交りで50軒の屋敷があるが，丹波屋・大坂屋・尾張屋などの屋号をもつ商家が多い。慶安２年の寺町大火は，当町北側の算盤屋久兵衛方から出火している（平山日記）。その後当町は，土淵川を越えて東へ延び，寛文13年の弘前中惣屋敷絵図では土淵川を越えた地域に新派屋敷として31軒の屋敷割りがされ，武家屋敷のほかに町同心・大工など13軒が見える。また町内には町屋を中心に42軒があり，元和７年美濃郡代であった祖栗原盛清が会計不正事件で切腹し，これに連座して津軽に流罪となった預人栗原泰芸も笹森町入口付近に居住している。延宝５年の弘前惣御絵図では，町域は三の丸東門から東の和徳町高札場まで一～九丁目に区分され，土淵川以東の七丁目と八丁目の間に東長町北横丁・同南横丁が形成されている。同年に米蔵や蕨御蔵・桧物細工所，元禄10年に惣足軽鉄炮稽古星場が設けられているが（国日記），これらはいずれも土淵川以東の後の和徳町の部分である。同17年町内の岩見佐次兵衛方から出火して13軒と土蔵２を焼失している。宝永２年町年寄松山善之丞が親方町から当町へ移った（津軽史）。その後年代ははっきりしないが，享保４年までに土淵川以東の六～九丁目は和徳町に編入され，また三の丸東門前は下白銀町に編入された（町屋数円）。宝暦６年の弘前町惣屋鋪改大帳では町屋46軒があり，寛政12年の分間弘前大絵図では町屋43軒が数えられる。明治初年の「国誌」によれば，戸数79，町域は「上は下白銀町より下は和徳町土淵川に至る，長三丁四十九間五軒（ママ）」，町の状況は「酒肆魚店蕎麦麪類雑貨舗あり」と見える。明治初年には戸長役場が当町に置かれた。同22年弘前市に所属。なお市制施行に当たっては当町の戸長役場が仮市役所とされ，６月18日に開庁式が挙行された。市役所は翌23年元寺町へ移転。以後当町は商店街として発展し，近年道路の拡幅が完成した。昭和３年の賦課戸数107。世帯数・人口は，同25年175・773，同50年104・368，同55年90・305。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7012516