福地村
【ふくむら】

(近代)昭和30年～現在の三戸郡の自治体名。馬淵(まべち)川中流域に位置する。村域の大半は丘陵地で，中央を西から東に馬淵川が流れ，流域沿いに平坦地をつくっている。田部村・地引(ちびき)村の２か村が合併して成立。合併各村の10大字を継承。村名は，田部村の中心地福田と地引村から各１字ずつとったもの。村役場を苫米地(とまべち)に設置。世帯数・人口は成立時972・６，199。昭和40年１，046・５，780，同45年１，133・２，846，同50年１，311・６，053，同54年１，459・６，350，同55年１，500・６，424。昭和30年から同40年までは若年労働力の流出，出稼形態としての人口移動による人口減少が続いた。同40年以降は隣接八戸市の新産業都市指定に伴い，住宅団地の造成など，ベッドタウン化が進み，人口や世帯数の増加傾向が見られる。土地利用状況は，同40年の総面積は39．75km(^2)で，田９．３％，畑25．９％，宅地２．３％，山林40．８％，原野７．３％，その他14．４％，同50年田12．６％，畑25％，宅地３．３％，山林46％，原野４．９％，その他８．２％。同53年の農業粗生産額23億９，900万円（うち米30．８％，麦類０．４％，雑穀豆類３．６％，いも類０．２％，野菜16．４％，果樹22．３％，工芸作物９．９％，その他０．６％，畜産15．８％）。同年の農家戸数814戸（うち専業８．７％，第１種兼業27．８％，第２種兼業63．５％）。また同年の経営耕地面積は１，098ha（うち田44．１％，畑37．０％，樹園地12．２％，放牧採草地６．７％）。同54年時の工業関係の事業所数は12，従業者数261。同年の商店数64，従業者数125。昭和30年当村第１回農産物品評会開催。約31年新村建設審議会が発足。役場庁舎落成。同33年国道104号舗装工事に着手。同34年県から新農山漁村建設の指定村となる。同35年国民健康保険制度を実施。第２次新村建設計画策定。国有牛20頭が貸与される。翌36年国道104号の切替え工事開始。国鉄東北本線苫米地駅開設。翌37年大豆栽培の改良用トラクターを購入し，麦沢集落に配置。翌38年農業構造協議会発足。翌39年八戸地区新産業都市地域に指定される。農協合併研究会発足。同40年農協合併促進協議会発足。てんさい用大型トラクターを購入し，杉沢地区に配置。同41年工場誘致第１号工場，青森東和蓄電器操業開始。台風４号により馬淵川が増水，被害額約350万円。工場誘致第２号工場，西川製作所進出決定。同43年ゴミ焼却炉が完成。同年十勝沖地震が発生，死者１名，家屋倒壊133棟など，被害総額約２億２，000万円に達した。同45年農免農道整備事業（福地地区）が完成（事業費１億５，762万８，000円）。翌46年不燃物ゴミ収集事業開始。馬淵水道企業団給水工事完成（給水人口９，300人，給水量１日２，000m(^3)，総事業費２億３，121万円）。同50年電話加入率84．７％となる。馬淵水道企業団で第１次拡張工事完了（事業費２億８，577万円，給水人口１万７，750人）。翌51年交通公園完成。同53年農地開発利用促進事業（北山）が事業費１億８，500万円で開始された。団体営かんがい排水事業（地引土地改良区）開始（事業費１億６，960万円）。同55年県営農免農道整備事業（麦沢地区）完了，事業費１億１，761万９，000円。同年から同61年度までの予定で，当地区農村総合整備モデル事業が開始された。事業費は14億７，000万円。同年冷害による特別被害地域の指定を受ける。同56年文化財審議委員会設置。村内に伝わるえんぶりは八戸のえんぶりとして昭和54年に国重要無形民俗文化財に指定された。また南部手踊りは県南地方きっての盛況ぶりである。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7012731