法源寺
【ほうげんじ】

弘前市新寺町にある寺。真宗大谷派。山号は遍照山。本尊は阿弥陀如来。文明13年敬了が油川(青森市)に創立(浄土真宗一派縁起,弘前図書館蔵)。敬了は加賀国出身で蓮如の弟子という(国誌)。天正10年浪岡村(南津軽郡浪岡町)に移転。その後津軽為信によって弘前城下に移されたと伝えるが(浄土真宗一派縁起),為信による移転先は堀越城下(弘前市)であり,弘前城下の寺町(元寺町)への移転は慶長15年の2代藩主津軽信枚の命によると思われる(弘前市史)。慶安3年の寺町の大火により,翌4年現在地に移転した(同前)。4世祐甫以後,名跡が絶えたため,秋田久保田の専念寺(秋田県秋田市)より了意を5世として迎えた。これは3代藩主信義の計らいによるもので,以後御目見寺院となった(浄土真宗一派縁起)。もと真教寺末で,塔頭の玄徳寺を擁した(国誌)。また飯詰村(五所川原市)と浪岡村に当寺の念仏道場があったという(津軽一統志)。なお,富籤興行が行われており,「開札申七月十五日,手札□□弐文目,弘札法源寺」とある富札が現存する(八木橋文庫蔵)。興行の時期は天保以降とされる。寺宝に2代藩主信枚から拝領した七条袈裟,2世祐春の代に本山東本願寺から下賜された親鸞の真影がある。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7012830 |