貞任高原
【さだとうこうげん】

遠野市土淵町の東部と釜石市橋野町の西部に広がる高原。中心部に貞任山がある。約8,000株のミズバショウが数えられ,北上山系のミズバショウ群生地の南限といわれる。昭和45年に釜石営林署が約2haにわたる地域を保護地として指定。江戸期には,沿岸の大槌と遠野を結ぶ主要交易路(塩の道)が通じ,難所として聞こえた。近年,山系開発事業として道路が整備され,東方の和山高原・新山高原を結んでスリーグリーンラインと呼ばれる高原観光道路が開通し,脚光を浴びている。道路の周辺部一帯1,210haは,遠野市農協によって運営される貞任牧場で,古くは南部駒の放牧地,昭和35年ごろから牛に代わった。昭和50~55年に国の広域農業開発事業により肉用牛繁殖センター,夏期放牧場,肥育牧場が拡充,新設され,繁殖センターは子牛を地域の農家に供給し,農業経営改善に貢献している。5月から10月の間,放牧される和牛は約1,500頭,乗用馬約50頭で,行楽客の詩情を満喫させている。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7014708 |