田山
【たやま】

旧国名:陸奥
東は奥羽山脈の稲庭岳,西は天狗森,北は中岳,南は朝日山に囲まれた盆地で,中央を米代川が西流する標高300mの高地に位置する。地層は,主として新生代第三紀層中新世田山層と石英安山岩などで構成されている。縄文式土器の包含遺跡が分布している。江戸期から有名なダンブリ長者の伝説や田山長者屋敷の伝承地がある。昔一人の農夫が炎暑の夏,木陰で昼休みにうとうとしていると,耳もとで「朝日射し,夕陽輝くそのもとに珍の泉湧きてあらん」とささやく声がして眼をさました。あたりを見ると1匹のダンブリ(トンボ)が人を招くしぐさをしている。ダンブリのあとについて行くと,崖の岩の間から甘い良い酒が,こんこんと湧き出ている。農夫はそれがもとで大長者になる。しかしこの農夫には子がなく,浄法寺の桂清水観音(天台寺)に祈願して,一女(桂子姫)を得る。その娘が長じて帝の中宮(吉祥姫)になって宮中に仕え,両親が他界したので供養のため郷里に帰り,小豆沢に五大堂を建てたが,吉祥姫自身も薄命に終わった。その後姫の遺言通り小豆沢に葬り銀杏樹を植え,それが長く姫のかたみとなったという。おそらく小豆沢の大日堂を大日孁神としてまつったことから,大日(ダイニチ)と大日孁(オオヒルメ)の呼称の混淆が始まりダイビル(大日霊・大毘盧)となり,ダンブリといういいかたになっていったものであろう。ダンブリをトンボとするのは,古い民俗信仰にもかかわり,トンボを神の使いとして信仰するならわしのようなものがここに結びついていよう。
【田山(中世)】 戦国武士田山氏の本拠地。
【田山村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
【田山村(近代)】 明治22年~昭和31年の二戸郡の自治体名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7015292 |




