京田村
【きょうでんむら】

(近代)明治22年～昭和30年の西田川郡の自治体名。庄内地方，庄内平野南部に位置する。荒井京田・覚岸寺・北京田・高田・西京田・平京田(へいきようでん)・中野京田・安丹・林崎・豊田・福田の11か村が合併して成立。大字は旧村名を継承。役場を大字荒井京田に設置，のち大字高田に新築移転。村名は近世の組名による。「京田」の地名の由来は羽黒山領の経田を意味する説，大宝寺氏の給田が転訛したとする説，京都方面からの資本導入によって開拓されたことによるとする説などがある（地名辞書）。明治42年の戸数239・人口1,802。世帯・人口は，大正９年245・1,886，昭和10年263・1,939，同25年286・2,144，同30年280・2,158（男1,005・女1,153）。大正３年の民有地631町歩，戸数246うち農家戸数206，人口1,975うち男969・女1,006。昭和６年の民有地634町余，戸数251うち農家戸数234，人口1,927うち男930・女997。当村では米の増収のため，稲作改良がはかられ灌漑用水整備・品種改良・土地改良などが行われた。明治23年鳥の巣堰完成。昭和18年高田堰下流機織沼水門はコンクリート造りに改修された。大字中野京田の庄内地方乾田化の元祖といわれる篤農家工藤吉郎兵衛は明治18年から従来の湿田の乾田化に努力，同34年頃から乾田化が普及し，従来の品種では稲熱病にかかりやすく倒伏しやすいことから品種改良の気運が高まり，工藤吉郎兵衛は明治43年「鶴の餅」，大正４年「福坊主・京錦」，大正９年「酒の華」を創撰。「大国早生」は大字高田の阿部勘治郎創撰，「論田早生」は大字福田の小野寺多右衛門創撰。昭和17年全村一致で客土を実施したが，第２次大戦のため500町歩のうち200町歩で中止。同29年京田村土地改良区発足。昭和４年庄内電鉄鶴岡湯野浜線12.2kmが開通，村内に京田駅・安丹駅設置，昭和50年廃止。明治42年中野京田尋常小学校・北京田尋常小学校・豊田尋常小学校を合併，１村１校とし校名を京田尋常小学校としたが，校舎は従来のものを利用。大正４年大字高田に新校舎完成。同６年高等科生を収容し京田尋常高等小学校と称した。昭和３年の在籍児童数は尋常科284（男138・女146），高等科34（男24・女10）。同22年京田中学校創設，同34年村内が鶴岡第一（大字西京田・平京田・中野京田・安丹）・第二（大字荒井京田・覚岸寺・北京田・高田・福田・林崎・豊田）の両中学校の学区に組み入れられ，京田中学校は廃校となる。昭和27年小学校は６学級で児童数261（男127・女134），中学校は４学級で生徒数146（男67・女79）。農地改革による小作地率の変化，自小作別農家戸数の変化は菅野正他著「稲作農の展開と村落構造」によると，昭和22年耕作地714町歩うち小作地率68.4％，同25年耕作地738町歩うち小作地率2.1％。昭和22年の自作16戸・自小作131戸・小作97戸，計244戸。同25年の自作216戸・自小作27戸，計243戸。同27年の農家戸数244（専業237・兼業７），耕地面積７町２反４畝（田６町82反４畝・畑20反）・水稲反当収量２石４斗，牛106・馬158・豚13・にわとり1,268。同30年の水稲作付面積603.7町歩，乳用牛飼育農家４，役肉牛か馬飼育農家204。昭和28年公民館設置，同41年新築移転。昭和30年鶴岡市に編入。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7024810