乱川扇状地
【みだれがわせんじょうち】

村山地方,山形盆地東部にある形の整った扇状地。関山地区(東根市)を扇頂として半径11km,扇端の弧の長さが12kmに達する大型のもの。扇頂は標高240m,最上川に近い扇端は標高85mである。扇状地南寄りを流れる乱川のほか,村山野川・白水川の複合扇状地。地下水位が深く,扇央は大部分がクロボクに覆われ,江戸期までは松林のところが多かった。現在はタバコ・ホップ・果樹が栽培されている。集落は扇頂に立地するほか,北と南の扇側に線状に延び,扇端にはみごとな弧を描いて集落が並ぶ。この扇端は水利がよく人々の生活に適したとみえ,蟹沢遺跡(東根市)など縄文時代や弥生時代の遺跡がある。史料上,成立が古いとみられる小田島荘は蟹沢を含む水田地帯にあった。乱川の南,扇端南部の成生(なりう)荘は,湧泉が多く水田と畑を含む地域である。これらにはさまれた大字羽入(はにゆう)・荷口(東根市)などは,最も湧水量が多く,養鱒を行う。扇央は開発が遅れたが,慶長8年羽州街道が開通すると扇面の開墾が進められ,集落も成立した。神町(じんまち)(東根市)や乱川(天童市)などの集落は,江戸初期に街道に沿って形成された集落である。街道の東部の開拓はさらに遅く,太田新田・板垣新田・中島新田(東根市)は,幕末から明治初年にかけて開拓された。扇状地中の小丘若木(おさなぎ)山(東根市)の南東部は,地下水位が最も深く開拓が遅れたところで,昭和12年以降の開発である。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7027670 |