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難台山
【なんだいさん】


筑波山塊東列山地の最高峰。標高553.0m。男体山とも書いた。山体はほとんど花崗岩からなる。一部に花崗岩の貫入を受けた熱変成岩・ホルンフェルスもみられる。北麓の長沢にはかつてケイ酸マンガンを採取したマンガン鉱があった。山の形は丸味があり晩壮年期の地形をなす。山頂付近には屏風岩のような奇岩もみられる。また南の団子石峠から山頂にかけては岩石の露出している所が多い。北麓は涸沼(ひぬま)川の主な水源をなしている。東の西茨城郡岩間町,西の新治(にいはり)郡八郷町にまたがり,町境・郡境をなす。東列の山地には難台山を主峰に,北部に吾国山があり,360~550mの山地が関東平野に張り出している。そのため笠間地方と柿岡盆地との交通は,道祖神峠,岩間地方と柿岡盆地は団子石峠を経て行われた。山頂近くには県史跡難台山城跡がある。嘉慶2年南朝方の小山義政とその第3子若犬丸は小田城主常陸大掾小田孝朝らと難台山城に籠城。翌年5月佐竹義宣ら北朝方の総攻撃を受けて陥落した(鎌倉大草紙/群書20)。山頂付近はミズナラ・ヤシャブシ・クマシデ・リョウブなどの自然林が分布し,標高400m位までは人工林のスギ・ヒノキが多い。北部の集落長沢には俗称谷間の姫百合の愛称のあるスズランの群生地がある。また県内唯一のワニグチソウの自生地として知られる。昆虫ではヒョウモンチョウの山とよばれるほどヒョウモンチョウがたくさん棲息し,生きた化石といわれるムカシヤンマ・ムカシトンボの棲息も確認されている。沢沿いにはサワガニ・ハコネサンショウウオが棲息している。中腹では花崗岩の採掘が行われている。昭和49年には難台山地域を含めて吾国愛宕県立自然公園に指定されている。ハイキングコースとしては,吾国山からの縦走コース,国鉄常磐線岩間駅から団子石峠を経たコースが主なものである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7038833