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吾国山
【わがくにさん】


筑波山塊東列山地の北端に位置する山。標高518.2m。山体は黒雲母花崗岩からなる。かつては茨城郡田上村と本戸村,現在は八郷町と笠間市の境界をなす。山名は,山頂に伊勢大神宮を祀ったことにちなむといわれる(新編常陸)。一時は霊験あらたかといわれにぎわったといい,田上神社はその名残。柿岡盆地と笠間・岩間地方との間には吾国山・難台山をはじめとする標高360~550mの山地が南北に走り,両地域の交通は道祖神峠や団子石峠を経て行われた。吾国山の尾根は西に鋭くのび,西列の足尾・加波・雨引山との間は狭隘部をなし,岩瀬・福原地方とは板敷峠を通して交流した。現在は県道八郷稲田線が通る。山頂付近には自然林が分布し,人工林のスギ・ヒノキも多く温帯性の森林をなしている。南側の沢沿いにはマンリョウ,ウラジロなどの暖帯性の植物がみられる。中腹は人工林のスギやヒノキが多い。山麓の沢にはトウキョウサンショウウオ,吾国山を北限とするキイロサナエ(サナエトンボ科),山麓沿いの湿地にはゲンジボタルも棲息している。また,ニホンイノシシも多い。山頂は眺望がよく一等三角点があり,昭和43年県立吾国ユースセンターとして建設された青少年研修施設吾国山洗心館がある。昭和49年吾国愛宕県立自然公園に指定され,春秋の新緑・紅葉の季節には行楽客でにぎわう。ハイキングコースは,国鉄水戸線福原駅から田上を経てのコース,同じく板敷峠を経てのコース,同線稲田駅または同線笠間駅から団子石峠を経てのコースがよく知られている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7040360