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石裂山
【おざくさん】


尾鑿山とも書く。鹿沼市と上都賀郡粟野町の境にある山。標高879m。横根山・夕日岳・薬師岳・古峰ケ原高原などと日光国立公園の南東に続く前日光県立自然公園を形成している。古くから山岳宗教の霊地として開けた所で,東麓に日光の開山勝道上人が神護景雲年間に開いたといわれる加蘇山神社がある。東側山腹の洞窟内に奥社が祀られ周囲は巨杉がうっそうと茂り,途中には鉄鎖にすがり登るような難所もある。奥社の背後にはシロヤシオツツジがある。六国史の「三代実録」には元慶2年従五位下の神階を賜りとあり,江戸期には関東一円に10万戸の信者がいたといわれるほど隆盛をきわめた。明治10年に郷社に列し,大正4年に県社に昇格した古社であるが,今日では訪れる人も少なくなり,静かに信仰の山を守っている。東麓の鹿沼市側に石裂神社,南麓の粟野町側に賀蘇山神社があり,どちらも古社で同じ山を奥社としている。参道中腹には県天然記念物の2本のカツラの古木があり,一名千本カツラとも呼ばれ,縁結びの霊木として古くから信仰されており,今も時おり若い男女の祈願する姿が見られる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7041114