大根
【おおね】

旧国名:上野
大間々扇状地藪塚面扇端部の西南に位置する。北東に石田川の源流矢太神沼・美濃ケ谷戸沼・妙参寺沼,西方に団蔵坊沼・赤城沼・風吹沼と呼ばれる湧水池がある。中世青根郷・綿打郷は分かれており,大慶寺付近が綿打郷,本村が青根郷であった。地名を冠した人物としては,新田氏の一族大館家氏の長男が当地に住して綿打太郎為氏を称し,また「吾妻鏡」承久3年6月18日条に青根三郎の名が見える(国史大系)。地内には古墳をはじめ,縄文時代から平安期に至る遺物を包蔵し,採集遺物も多い。特に矢太神は縄文時代の遺跡地として著名で,矢太神湧水を源とする石田川流域には縄文土器・土師器の出土が多く,また古墳前期の土師器は石田川式土器とも呼ばれている。「上毛古墳綜覧」によると綿打村2号墳は悪源太義平の墓と伝承する。同3号墳からは亀甲文銀象嵌柄頭が出土した。大慶寺は治承4年妙満尼の開基,また新田氏族綿打氏の居館跡と伝承する。妙満尼は新田義重の娘で,悪源太義平の室。父母追福のため剃髪染衣して妙満比丘尼と称した(綿打村郷土誌)。明徳5年僧空覚上人中興開山の古刹。同寺に明徳5年を最古とする五輪塔が数基ある。村内には板碑の出土も多く,字岩之堂から徳治2年,矢太神北方から正和5年紀年のほか,13面の出土をみた。
【青根郷(中世)】 鎌倉期~戦国期に見える郷名。
【大根村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
【大根(近代)】 明治22年~現在の大字名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7044766 |




