至仏山
【しぶつさん】

県北部，利根郡片品村と水上町との境にある山。標高２，228.１m。日光国立公園尾瀬地区の名峰の１つ。尾瀬ケ原の西南西に位置する。基盤は白亜紀の花崗岩からなり，その上に幅約３km・南北の長さ約７kmでほぼ楕円形の蛇紋岩質の岩体がのっている。森林限界は標高１，700mと比較的低く，山頂部はハイマツ帯や砂礫地帯になっており，高山植物が豊富である。特に，東斜面にはオゼソウ・ホソバヒナウスユキソウ・ハクサンイチゲなど貴重な植物が多い。標高１，400mから１，700mまではクロベ・ヒメコマツなどの針葉樹林に覆われ，標高１，400m以下ではブナなどの落葉広葉樹林が分布する。昭和28年３月22日自然景観を保護するため特別保護地区に指定されている。登山口は尾瀬ケ原の山ノ鼻と鳩待峠があり，登山道はよく整備されている。山頂からは燧ケ岳を背景に尾瀬ケ原がパノラマのように眺望できる。６月上旬から９月上旬までが登山シーズンである。また，東斜面には無立木地が広がり，積雪量が多いため，春スキーの格好の場所となり、４月下旬から５月上旬にかけてはスキーヤーでにぎわう。西斜面はガレ場で，日光国立公園の区域外となるが，至仏山・笠ケ岳西面県指定自然環境保全地域に指定されている。交通の便はよく，片品村戸倉で国道401号から分かれ，鳩待峠に至る車道がある。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7045617