100辞書・辞典一括検索

JLogos

18

湯ノ丸山
【ゆのまるやま】


吾妻(あがつま)郡嬬恋(つまごい)村と長野県小県郡東部町との境にある鐘状(トロイデ型)火山。標高2,105m。浅間山の西北西に位置する。烏帽子火山群の1つ。この火山群は第三紀鮮新世,あるいは第四紀洪積世に発達し,付近一帯に湯ノ丸カルデラと呼ばれるカルデラ地形をつくった。その後,カルデラ内に中央火山群としてできた円頂丘の1つ。山体は角閃石を含有する普通輝石紫蘇輝石安山岩から構成され,前期火山活動の特徴を示し,それは高峰山などの成層火山を形成した後期火山活動と区別されている。山頂付近の稜線は広々としてゆったりしている。山頂は南・北2つのピークに分かれている。北峰は巨岩が重なり合って火山活動があったことを示している。そこには標高2,098.6mの三角点が設けられている。南峰はシャジクソウ・コゴメヒョウタンボク・ヤマホタルブクロなど貴重な高山植物で覆われている。東斜面には,明治37年に開設された湯ノ丸牧場があり,東部町牧野農業協同組合の預託牧場として機能している。6月から9月までの4か月間,長野県東部町・小諸市・更殖市などの農家から預かった乳牛や肉牛が放牧されている。牧場一帯にはレンゲツツジの大群落があり,昭和31年に国天然記念物に指定された。6月中旬から7月上旬が開花期であり,その頃から9月中旬までが夏の行楽のピークである。冬も湯ノ丸山スキー場があるためスキーヤーでにぎわいをみせている。交通は東側の山麓を南北に走る道路を利用するだけである。この道路は長野県東部町新張から地蔵峠(1,733m)を経て鹿沢温泉に至るもので,石の地蔵・観音が1町(109m)ごとに100基建てられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7047332