100辞書・辞典一括検索

JLogos

35

浦賀水道
【うらがすいどう】


浦賀海峡ともいう。東京湾口部,房総・三浦両半島の間にある水道。東西の幅約10km。地質時代の第三紀には三浦・房総の両地方は神奈川県中北部の丹沢山塊に続く地塊であったが,第三紀末から洪積世にかけて,地殻変動により多くの小地塊に分断され,この水道もその時の陥没の結果とされている。最深部は200mを超え,北部では三浦側に近く海谷状に続いている。水面では塩分の多い黒潮系の外海水は房総半島沿いに東京湾に流入し,塩分の少ない沿岸水は主として三浦半島沿いに南流している。この水道により両岸の気候も緩和され,殊に春にはやや高温の相模湾の影響が強くあらわれ,生物分布にも影響を与えている。水道内では暖流性の漁獲物がある。この水道は古代から三浦~房総間の主要連絡路をなし,律令期からは,房総・常陸は東海道に属し,「景行紀」の日本武尊東征記事に「走水(はしりみず)の海」と見える。走水は相模国(神奈川県)の地名。江戸期には江戸の発展に伴い,上方(かみがた)をはじめ諸地方との間の廻船や荷船の往来でにぎわった。そして幕末には東京湾防衛が重要視され,西岸各地に基地が造られた。現在は京浜・京葉工業地帯への幹線航路となっており,大小無数の内外の船舶に加え,三浦・房総両半島を結ぶ定期連絡船も通航し,全国でも船舶通行量の最も多い水域の1つとなっている。一方海難事故も多い。両岸は海水浴場や釣り場が各所に見られ,首都圏のレクリエーション地域として大きな役割を果たしている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7053225