大森区
【おおもりく】
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(近代)昭和7~22年の区名。東京市域拡張により成立した新20区の1つ。はじめ東京市,昭和18年から東京都に所属。現在の大田区東部。荏原(えばら)郡の大森・馬込(まごめ)・池上(いけがみ)・東調布・入新井(いりあらい)の5町が合併して成立。区名の由来は中世以来の郷村名による。昭和10年の戸数4万835・人口20万1,425(国勢調査)。区役所庁舎は大森6丁目2750番地に置かれた。大森町の浅海は良質の「浅草海苔」の産地として知られ,海岸は海水浴場としてにぎわった。大森駅周辺と東海道・京浜国道筋は商店街,海岸沿いの埋立地を中心に工業地帯として発展。草花生産を主とした専業農家による温室栽培が盛んであった(大森区史)。のち各種工業の発展による耕地面積の縮小と,埋立による海水汚染で水産業・農業ともに衰退化をたどる。大森駅付近にアメリカ人モースが発掘した大森貝塚がある。第2次大戦での空襲による死傷者1,646人(東京都戦災誌)。昭和22年3月,35区の廃置分合により蒲田(かまた)区と合併,大田区の一部となる。
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![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7059202 |