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沖村
【おきむら】


(近代)江戸末期~昭和43年の村名。母島乳房山の北西にある堺ケ(さかいが)岳の頂上を東西に通る線以南の地域。文久2年,外国奉行水野筑後守が,従来1村であった母島を南北2村に分割した際の南部の村。明治8年内務省の直轄,同18年東京府に移管。同24年には世話掛,同29年には助役が置かれ,母島南部のほかに,向島・平島・二子島・丸島・鰹鳥(かつおどり)島・姪(めい)島・妹島・姉島の8島が所属区域となり,同36年の土地整理事業の結果,母島内の72字が猪熊(いのくま)谷・西浦・蝙蝠(こうもり)谷・船見台・静沢・元地・大谷・船木山・評議平・中ノ平・南崎の11字に統合され,姉島・妹島・姪島は各1字となる。母島内の畑401町余・宅地8町。姉島・妹島・姪島合わせて畑45町余・宅地4町余。昭和12年の戸数272・人口1,503。同15年に町村制がしかれ,村役場は字元地にあった。農業は大正末に,サトウキビから促成蔬菜に転じ,水産物にはカツオ節・ムロアジ・ムロアジの干物・冷蔵魚があった(山方石之助:小笠原島志,小笠原島総覧・市町村概観等)。同19年3月の戦況悪化による引揚げ時の世帯数275・人口1,492。村役場は支庁とともに現在の港区海岸に移ったが,同27年4月,平和条約発効とともに廃止となり,同43年6月小笠原村に統合され現行の母島となる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7059261