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小淘綾ノ浜
【こゆるぎのはま】


中郡大磯町の西部に位置し,相模湾に臨む海岸。「よろぎの浜」あるいは「こよろぎの浜」ともいう。「こゆるぎ」あるいは「ゆるぎ」にはさまざまな字があてられ,見出しのほか,小陶綾・小動があり,西隣の中郡二宮町にある山西等覚院薬師仏像の背銘には,動木としている例も見いだせる。「こよろぎ」については,小余綾・古余綾・小余呂伎・小与呂伎がある。しかも,小淘綾ノ浜の名称は,現在の大磯町西部海岸のみならず,東は大磯町から,西は小田原市中央部海岸までの広い範囲で用いられているだけでなく,古代の史料においては七里ケ浜(鎌倉市)西方の小動(こゆるぎ)の浜との区別が必ずしも明確ではない。地名自体は,「万葉集」にも詠まれる古いものである。地名の由来としては,「綾」が絹を意味するところから,付近の海に流れ込む川で帰化織工が絹布をさらす作業を行っていたことによるとする説や,アイヌ語起源説などがある。明治29年,海岸近くに,滄浪閣として知られる伊藤博文邸が建てられ,以来政財界人が付近に別荘あるいは本宅を建て,独特の雰囲気を醸した。現在は,東側に隣接する照ケ崎海岸とともに,もっぱら近隣住民の散策や海水浴場となっている。京浜地区などからの行楽客はむしろ,海岸沿いのプールやゴルフ場を擁する行楽施設(大磯ロングビーチ)を利用している。毎年8月7日に大磯の七夕祭りが行われる。祭りは,西小磯地区の男児が願い事などを書いた短冊を笹竹につけ6日朝に,神社・道祖神などを回り祓い清める。この笹竹で笹神輿を作り,7日朝に海岸から沖へ流す。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7066970