丹沢湖
【たんざわこ】

西丹沢山中の足柄上郡山北町にある人造湖。玄倉(くろくら)川・河内川(中川川)・世附(よづく)川が合流し酒匂川の支流の河内(こうち)川となる神尾田地区にある。酒勾川総合開発事業(昭和44年発足)により建設された三保ダムにより生じた人造湖である。集水面積158.5km(^2)・面積2.18km(^2)・総貯水量6,490万m(^3)(有効貯水量5,450万m(^3))・満水位標高321.5mの規模を持つ。三保ダムは総事業費851億円で昭和49年5月に着工,同53年7月に完成した多目的ダムで,県企業庁所管。その形式は土質遮水壁型ロックフィルダムで,高さ95m・頂長587.7m・堤体積581.6万m(^3)である。わが国のロックフィルダムでは最大の耐震性が充分に考慮されている。同ダムの目的はダム地点最大流量毎秒2,100m(^3)を毎秒850m(^3)軽減し毎秒1,250m(^3)として下流域の洪水に対する安全度を高めること,酒匂川下流の小田原市飯泉(いいずみ)で最大1日180万m(^3)の都市水道用水を取水し県下の水道需要に対応すること,ダム放流水を利用しダム直下の姫川電力株式会社田ノ入発電所で最大7,000kwの発電を行うことの3つが主なものである。また,放流水の取入口が浅深2か所あり,湖水表面の暖かい水を放流し,低温水・冷害への対策を施している。ダム名は明治42年中川・世附・玄倉の3村が合併してできた旧三保村に由来する。湖誕生とともに神尾田・世附・中畑・焼津(やけづ)・大仏・玄倉の233世帯1,026人が山北町・中井町・南足柄市・伊勢原市などに移転した。この補償費は総額238億円に達し,1戸当たりの額は日本一高いものとなった。補償事業の一環として観光開発に力が注がれ,現在は北の河内川沿いの中川温泉と相まって,西丹沢の新しい観光地として注目され,年間約80万人の観光客を集めている。湖周辺にはダム広場キャンプセンター・ハイキングコースがあり,丹沢湖記念館にはダムの案内のほか神尾田地区尾崎で発掘された縄文中期の遺跡が展示され,また三保の家は当地区の代表的民家(文久2年建設)を移築し保存している。こうした観光開発により,他地区へ移転せずに湖畔に職を求める人も若干みられる。水没に伴い,県道なども丹沢大山国定公園・県立丹沢大山自然公園内の景観を損なわぬよう整備され,現在は湖を一周できるように林道(観光路)も開通している。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7067890 |




