耕雲寺
【こううんじ】

村上市門前にある寺。曹洞宗，山号は霊樹山，本尊は釈迦如来。塩沢町雲洞庵・村松町慈光寺・岩室村種月寺と並ぶ曹洞宗四箇道場の１つ。応永元年傑堂能勝の開創，越後で最初の曹洞宗の寺，師の梅山聞本を請じて開山とする。能勝は正平10年に楠本正儀の次子に生まれ，25歳で仏門に入り，諸師に学び，38歳の時梅山の印可を受けた。応永元年越後に下り，瀬波郡杠沢(やまなしざわ)に小庵を結び，耕雲庵と称したが，聞本から現山寺号を贈られた。能勝は応永18年頃に中国へ渡航し，宗祖道元の修行した天童山に輪番し，五位顕訣を持ち帰り，その参究につとめ，応永34年に没した。能勝を開山とする寺は，前記慈光寺のほか７か寺。法嗣としては顕窓慶字（慈光寺２世・雲洞庵開山），南英謙宗（種月寺開山）がいる。当寺歴代の住職は各地に寺を建て，末寺は80か寺，孫末以下合計800寺に達する（延享度曹洞宗寺院本末牒）。江戸期村上城主は寺領150石を寄進，阿賀野川以北の越後の僧録を司り，能登総持寺の輪番寺院であった。明治19年12月火災で伽藍を焼失，多くの什宝を失った。現在の本堂は昭和25年に建立，山門は焼失を免かれた元禄15年建立の鐘楼を明治末年に移築したもの。什物には開山梅山聞本の袈裟および竜沢寺後住を定めた遺戒状，能勝所持の竹箆および署名入りの大般若経２巻，明応５年の越後守護上杉房能寺領安堵状，永正６年霊樹山耕雲寺納所方田地之帳（116貫地余と外に米87俵余，銭113貫文余）１冊，歴代村上城主寺領寄進状，延宝５年書写の75巻本正法眼蔵などがある。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7072906