坂尻
【さかじり】

旧国名:若狭
天王山の山麓に位置し,若狭湾の中の織田湾西岸に面する漁村。地名は椿峠の登り口にあたる地形によって名付けられた。約21町ある水田はゼロメートル地帯の低湿地のため,冬季に海が荒れると高潮で河口がふさがれて水田一面が池となる。古来機織池と呼ばれ,国吉城の天然の濠であった。聖護院道興准后も「蝉のはの衣に夏は残れとも秋の名にたつはたをりの池」と詠んでいる(廻国雑記)。機織姫の伝説が伝えられ,池のなかにはかつて機織姫神社が祀られていたが,現在氏神一言主神社に合祀。丹後街道沿いに松林があり,海と池の間にひろがる景観は,ミニ天の橋立といわれている。岩出鼻の海岸には,弘法大師が笠をかけたという笠かけ岩がある。天王山の北端を黒崎と呼び,僧の形をした坊主岩がある。あわびの化石が出土する。
【坂尻(中世)】 戦国期に見える地名。
【坂尻村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
【坂尻(近代)】 明治22年~現在の大字名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7092658 |




