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安倍峠
【あべとうげ】


周辺に大ザサが茂るので笹ノ平とも呼ぶ。身延山地(安倍山地)の,南巨摩(みなみこま)郡身延町大城と静岡県静岡市の安倍川上流の梅ケ島温泉を結ぶ峠。標高1,456m。この峠道は第2次大戦後まで,薬湯梅ケ島温泉道として農繁期が終了した時,持病の人々が荷物を背負って湯治するため行き交っていた。本県側からは,国鉄身延線身延駅からバスで大城まで,ここからは林道高岡線を利用して大城川に沿って遡行する。途中古谷城(こやしろ)(番所跡が残る)先から登山道に入るが,林道は峠直下まで工事が進んでいる。糸魚川静岡構造線が南北に通るため破砕が目立ち,林道は各地に崩落地形があって使用不能。幾筋もの谷には滝があって渓谷は美しい。ヒノキなどの針葉樹からカエデ・ブナの広葉樹林となって峠ではオオイタヤメイゲツ(学術林)の純林となる。峠西斜面には,安倍川の支流サカサ川の源頭部の湧水がある。稜線を北にたどれば富士見台から八紘嶺(1,917.9m)へ,南へたどれば身延山地の稜線上のバラノ段(1,647.5m),大笹ノ頭(1,672m)から十枚山(1,719m),下十枚山(1,732m)へと続き,峠を西に下ると湯ケ島温泉に約1.5時間で到達する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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