椹池
【さわらいけ】

韮崎(にらさき)市の西部,甘利山の中腹にある池沼。面積約1ha。当池は甘利山を構成している断層線に沿った凹地に生じた。甘利山中の鷹ノ田(たかんた)・池平にも同様の池沼があり,いずれも1,000m前後の地に水をたたえる。県内には珍しい高層湿原であって,ミズゴケの堆積したものからなり,一部浮島状をなすところもある。池中に,ヤマアゼスゲ・サギスゲ・サワギキョウ・ミズゴケが生えている。第2次大戦前はモウセンゴケの大群生地であったが,今は絶滅した。ヒキガエル・イモリの生息地としても有名。「国志」では佐原池と記し,甘利山伝説の主要舞台でもある。池名の由来は,付近にサワラの木が多かったからとも,また,毒蛇退治の際サワラの木を伐り込んだからともいわれるが,雨乞祈願の唱えごとに関係するものともいわれる。甘利山中の鷹ノ田・椹池・大笹池などは雨乞行事の一般的経路であったと考えられる。第2次大戦後浚渫されて,昔の面影がわずかになったが,観光地として,有名になった。池の西端に山岳会白鳳会経営の山小屋白鳳荘がある。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7097115 |