東漸寺
【とうぜんじ】
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北巨摩(きたこま)郡須玉町若神子(わかみこ)にある寺。臨済宗妙心寺派。山号は大陽山。本尊は薬師如来。「国志」には,推古天皇20年に聖徳太子が創建したとの古刹伝承を載せ,鎌倉期の弘安2年,空外天意(「寺記」では意天と記す)が中興開山となり,京都五山派の末寺となる。現宗派へ転じたのを「国志」は8世梅岩和尚の代,「寺記」は9世巨川和尚とする。開基を天文5年12月27日武田信玄に誅せられた信濃国海之口城主平賀源心とすることから(寺記),改宗年代は源心の活動期前後と推定される。信玄は源心を当寺に葬った後,寺地・寺領を給したといい,慶長8年の四奉行黒印で寺領2石8斗余と境内750坪が安堵され,その後も継承される(国志・寺記)。現宗派となってからは和田法泉寺末であったが,14世単伝和尚の代明和6年に京都妙心寺直末となる。
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![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7097719 |