登美台地
【とみだいち】

甲府市の西方,北巨摩(きたこま)郡双葉町から竜王町に及ぶ緩傾斜の台地。標高350m前後で,70m前後の比高をもち,甲府盆地と釜無川を隔てる。当台地は黒富士の火砕流や茅ケ岳の火砕流からなる台地で,表面はローム層に被覆されている。当台地の南東側は盆地に臨み,眺望,交通の便ともに良いので宅地化し,甲府のベッドタウンと化した。また中央自動車道のサービスエリアが建設されている。台地の西側,釜無川浸食崖の上には甲府バイパスの延長として竜王~塩崎間の竜王バイパスが通じ,その沿道台地上は眺望に優れ,ドライブインが密集し繁栄している。古くは信州往還が当台地を縦断し,現在は,中央自動車道・国鉄中央本線・県道甲府韮崎線が通過する交通の要衝。当台地の西側末端を釜無川が浸食して高岩(または赤岩)と称する崖をなし,その末端竜王鼻から信玄堤が築造された。台地の南斜面に,古くは西山集落(赤坂付近),興石集落(中央本線竜王トンネル付近)があったが,永禄年間,信玄堤保護のため竜王河原宿(現在の竜王町本竜王)造立にあたって,そこに移転した。この旧集落の中間に曹洞宗の名刹有富山慈照寺がある。台地上には数基の古墳(横穴式円墳)があり,中央自動車道建設に伴う緊急発掘により調査されたが,のち破壊され,今は双葉町内神の湯温泉前の往生塚が残るのみである。二ツ塚古墳跡に竜王町発祥の地という碑がたつ。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7097771 |