鳴沢
【なるさわ】

旧国名:甲斐
成沢とも書く。富士山北面,足和田山の南麓に位置し,西部から南部にかけて青木ケ原の樹海を含む広大な富士の裾野が広がる。地名の由来は諸説がある。一説には,富士の剣ケ峰と雷岩との亀裂である大沢を岩が転落するとき,激しくぶつかり合って遠雷のごとく鳴ったことに由来するという。また,一説には,往古富士山八葉(山頂の噴火口の周辺の山8峰を仏教の蓮8弁にたとえていう)に池があり,その水が沢を流下する際,雷鳴のような大きな音がしたことにちなむという。さらに,一説には,貞観6年の大噴火以前に精進湖に連なる剗の海の水が流出して大田川となったが,当地は往古窪地となっており,その水の落口では万雷のとどろくような音がしたからともいう。地内の大田和は往古の大田川の跡と伝えられる(国志)。富士の鳴沢は古来より有名で,「万葉集」に「さ寝らくは玉の緒ばかり恋ふらくは富士の高嶺の鳴沢の如」と歌われ,以後諸和歌集にも見える。地内には武田氏時代の導者関跡,源頼朝の富士の巻狩の伝説をもつ幕木という地名があり,足和田山の支峰壇ノ山のうち雨乞山の上では役の行者が修業し,そこには行者の屋敷跡というところがある(同前)。縄文時代の水上遺跡・大田和遺跡,古墳時代の前丸尾遺跡がある。
【鳴沢(中世)】 戦国期に見える地名。
【成沢村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
【鳴沢村(近代)】 明治22年~現在の南都留郡の自治体名。
【鳴沢(近代)】 明治22~32年の鳴沢村の大字名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7097911 |




