船山
【ふなやま】

韮崎(にらさき)市本町の南部,釜無川左岸にある丘陵。標高360.5m。釜無川の河床との比高約20m。北西から南東に約375m。最大幅約30m。細長く,頂上は平坦。丘名は「国志」には「其ノ形船ヲ覆スルガ如シ」とあるが,当丘が富士川舟運の好目標になったことに由来するとも思われる。八ケ岳を噴出源とする韮崎火砕流で形成された七里岩とは,釜無川の浸食によって分断され,その間の河床に現在の韮崎市の中心街が発達している。七里岩と同じく,輝石安山岩と火砕岩とからなり,また釜無川を隔てた竜岡町,大草町の河岸段丘の一部と地質が共通している。釜無川の浸食によって,丘陵の西側は断崖をなし,奇勝の地であったが,韮崎在住の池田一布は,大正13年,当地を池田岬として開発,天然のプールや釣堀など設けて,第2次大戦前の韮崎の観光名所となったが,戦後,昭和34年の台風7号により荒廃,さらに国道20号の貫通で,当丘陵は西側の3分の1を失って,往年の景観はまったくなくなった。丘上の大部分は共同墓地,北端に姫宮神社があり,小公園をなし,奇石「鏡石」がある。当丘陵の北端近く富士川舟運の終点には船山河岸があって,国鉄中央線開通以前の交通運輸の拠点となっていた。また,しばしば水害のため流失を繰り返した木橋に替わって,昭和10年,鉄筋コンクリート橋の船山橋が,国道52号に架けられ,同橋は昭和57年さらに近代橋に架け替えられた。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7098289 |