善知鳥峠
【うとうとうげ】

塩尻市金井と北小野の境,大芝山の東の鞍部にある峠。標高889m。塩尻宿東端の金井で国道20号(中山道)と分かれた国道153号(伊那街道)が通り,南下して小野宿(辰野町)に至る。古代,東山道もこの峠を越えていた。かつて北側の急斜面にはカーブが31もあり,冬季は路面が凍結して事故が多発,魔の峠といわれていた。昭和46年,全面的な改修工事が完成,急カーブはなくなり,勾配も緩くなって峠の面目は一新された。太平洋側と日本海側の分水界をなし,峠以北では降水量が少ないが,以南では多く,「しぶきよけ」のある民家が多く見られる。峠が郡境になっていないのは,以前は伊那郡に属していた北小野が,江戸期から筑摩郡に編入されたことによる。小野宿には江戸期の遺構,本陣や脇本陣など豪壮な本棟造りが残る。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7099440 |