乙事
【おっこと】

旧国名:信濃
乙骨とも書き,「おつこつ」とも読んだ。八ケ岳南西麓に位置する。地名の由来には人家がまばらにあちこちにあったからとの説がある。三井氏・乙骨氏は武田氏の家臣で以前からの住民は少ない。「家忠日記」「乙骨太郎左衛門覚書」「三河物語」などによれば,天正10年7月,徳川家康の将酒井忠次が信濃を管するため諏訪郡に入ったが,北条氏直が大軍を率いて来るとの報を聞き,同年8月3日,高島城の包囲を解いて「乙骨」に退いた。「家忠日記」同日条は,このときの様子を「おつこつ迄取出陣はり候」と記す。同6日,氏直が当地に押し寄せたため,酒井忠次らは甲斐まで退却を余儀なくされたとある(信史15)。
【乙事村(近世)】 江戸期~明治8年の村名。
【乙事村(近代)】 明治16~22年の村名。
【乙事(近代)】 明治22年~現在の大字名。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7099818 |




