黒川?
【くろかわ】

上伊那郡長谷村を流れる１級河川。流長12.753ｋｍ。仙丈ケ岳北西斜面より流出し，天竜川の支流三峰川に合流する。上流部で仙丈ケ岳北斜面より流下する１級河川の戸台川が合流する。黒川と戸台川はともに西南日本地質構造線に沿って流れる三峰川の東を流域にしているので，地質は第三紀古生層で結晶片岩類の凝灰岩や，戸台付近には砂岩類の粘板岩や礫岩など多くの種類の岩石がある。また一部には石灰岩の部分もあり，石灰岩洞穴（竪穴）も存在する。戸台川から黒川は，三峰川合流地点まで岩石類を深く浸食し峡谷を形成している。江戸期この流域一帯は諏訪藩が統治し，戸台川とともに黒川の支流をなす小黒川の渓谷が諏訪との連絡路をなし，これらの渓谷には木地師の集落が点在していた。黒川と戸台川渓谷は南アルプス北半部への登山道をなしていたが，昭和54年戸台から北沢峠を経て山梨県中巨摩(なかこま)郡芦安(あしやす)村へ通じる南アルプスの唯一の横断車道南アルプス林道が完成した。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7100566