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九郷
【くごう】


旧国名:美濃

(中世)室町期に見える所領名。美濃国本巣郡のうち。八条院領の一部をなしていた美濃国国衙領のうち,半分は延文元年に後光厳天皇より西園寺家に,その後残る半分は同天皇の後宮崇賢門院にそれぞれ伝領され,崇賢門院分は応永33年以前に宝鏡寺に寄進されたと推定される。九郷はこの宝鏡寺領分美濃国国衙領の1つ。「本巣郡九村」とも見え,長享3年2月5日付の某注進状案によれば,見のへ(糸貫町見延)・あり里(同町有里)・みつはし(同町三橋)・あさき(真正町浅木)・そい(本巣町曽井中島)・しけおミ(以下比定地未詳)・すゝき名・犬丸名・いわつき名の本巣郡内9村(郷)を指す。応永7年の某(大館か)書状写には「九郷正さい(税)の事,もとのまゝに五千七百疋のふんを,おほせくたされ」とあり,同18年の某書状写では京進8,400疋とされていた。また応永ごろには大館・畠山両氏が代官であったらしい。その後,長享2年の前出注進状によれば,応仁・文明の乱までは領家被官の中沢なる者が代官であったが,乱中,土岐被官野間某が押領してしまったという。このころが宝鏡寺領美濃国国衙領の終焉であろう。なお,宝鏡寺管領分国衙領中には恒光名・松久名・石時名などからなる「本巣郡在庁名」が見えるが,これも九郷に含まれるものかも知れない(県史・宝鏡寺文書)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7105872